会長挨拶

ご挨拶に代えて

 この度、4 月に行われました令和4 年度第1 回理事会での互選に基づき、6 月の第31 回通常総会(議案送付による文書総会)でご承認を頂き、3 期目の会長の任を拝命致しました。さらなる重責を感ずるとともに、ここに一文を記させて頂きます。

 2020 年春に始まった新型コロナウイルス感染症の流行は依然として収束しないまま3 年目に入り、現代社会への大きな影響が続くとともに学会活動も過去にない影響を受けています。このような状況の中、昨年は年次大会として学会創立30 周年記念・特別講演・研究発表会を開催し、本年も年次大会として特別講演・研究発表会を開催することができました。関西支部の研究会やシンポジウムも含め、学会活動を継続して行えているのも、理事の方々や会員の皆様のご協力の賜物と感謝申し上げます。

 さて平成3(1991)年3 月に創立された日本写真芸術学会は、本年満31 歳を迎えたということができます。31 年前はそれほど遠い過去ではありませんが、現在の写真界の状況は学会創立当時とは大きく変わっているということを2 年前の学会ニュースのご挨拶でも申し上げました。ここで改めて創立当時のことを振り返ってみたいと思います。

 1991 年8 月、最初に刊行された学会ニュースの中で、初代会長・渡辺義雄先生は「・・・写真誕生150 年を機に、その機運が高まったことは喜ばしいことであります。近年特に写真教育を中心にしている各大学間の交流が密接になり、研究や教員の交換等が行われるようになったことも、そのような学会の設立の必要性を実感したことが大きなきっかけになったようであります。しかし、写真関係での先輩学会である(日本)写真学会の国際的な活動や、新しい分野をもとりこんだ(日本)映像学会の着実な活動、さらには、アメリカを始め世界の同種の学協会の誕生と活発な活動などが、大きな刺激になったことも新学会誕生の引き金になったと申せましょう。・・・」と述べておられます。

 またこのニュースに掲載されている設立総会の記録の中で、当時の日本写真学会会長・久保走一先生は祝辞として「・・・英文を見てみますと日本写真芸術学会の方はSociety forthe Arts and History of Photography of Japan で、私ども日本写真学会の方はSociety ofPhotographic Science and Technology でございます。このScience & Technology が、Art& History と合致しますと写真全体をカバーする、つまり、本当に写真という学問が成立するという風に考えられる訳であります。・・・私ども日本写真学会も、この新しい学会に対しまして、微力ではございますが力の許す限りご協力申し上げたいと存じます。・・・日本写真芸術学会の将来のご発展に対しまして、心からなるご協力をお誓い申し上げると共に、ご発展をお祈り申し上げまして、ご挨拶とさせて戴きます」と述べておられます。

 前会長・内藤明先生が昨年のニュースで追悼文を書いておられますが、久保先生も一昨年ご逝去されたことは誠に残念なことでした。そしてそのお言葉を見るとき、今更ながら隔世の感を禁じ得ません。

 31 年目以降の学会の進む方向を見定める際に、改めて渡辺先生のお言葉に記された、当時のきっかけや刺激に思いを寄せ、初心に帰って学会活動を着実に進める必要があるのではないかと考えます。

 1991 年3 月31 日に開催された設立総会の参加者は430 名に上ったという記録があります。この点も、現在とは大きな隔たりを感じるところです。学会は近年、会員数の減少傾向が続き、それに伴って財政的にも運営の厳しさが増しているという現状があることは、やはり2 年前のニュースで申し上げました。

 この対応として学会事務局につきましては新年度4 月よりその業務を、これまで学会誌やニュースの印刷等でお世話になってきた㈱タスプに委託しております。財政状況悪化への対応については昨年度理事会にて検討を重ねてきましたが、運営費の約3 割を占めてきた人件費を削減すべく、事務局業務を外部委託することとしたものです。会員の皆様にご理解をお願いするとともに、今後は事務局業務の効率化と迅速な会員向け各種対応により、学会のさらなる活性化を目指していければと考えております。

 末筆ながら、会員の皆様にはご健康にくれぐれもお気を付けお過ごし頂くとともに、今後とも本学会をよろしくお引き立てのほどお願い申し上げる次第です。

日本写真芸術学会 会長
高橋 則英

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