令和5年7月8日(土)東京工芸大学中野キャンパス5号館(芸術情報館)1 階メインホール にて開催されました年次大会における井津建郎氏による基調講演「Journey Without Map・地図の無い旅」 につきまして当日の収録映像を公開いたしました。
ぜひご覧いただきたくご案内申し上げます。
講 演 「Journey Without Map・地図の無い旅」 井津建郎(写真家)
要 旨 大学在学中に渡米し、ライフワークとなる聖地をめぐる旅が始 まった初期から現在に至る写真家としての軌跡を作品をとおし語 られました。世界を旅し、感情や主義主張を抑え対象を冷静に捉 えた作品には、人や風景だけでなく、その場の音や空気、言葉な ども凝縮されているとのこと。またスタジオで光や構成を思いの ままに制御して人体や静物を捉えた「BLUE 陰影の美」(2001 ~ 2004)、さらに現在進行中の日本人の美意識を考察した「ものの あはれ 幽玄・侘・寂」(2018 ~ )についても語られました。写 真制作ではオリジナルプリントが完成作品であり、プリント制作 の大切さを強調されました。さらにオリジナルプリントの価値や 作品を解説するキューレター、展示取引するギャラリストの育成 の重要さも指摘されました。 (基調講演座長:西垣仁美)
プロフィール
1949年大阪生まれ。日本大学芸術学部写真科に在学中の1971年、21歳の時にニューヨークを訪れ、そのまま滞在し移住に至る。1974年 Kenro Izu Studio を設立。以後50年にわたり、ニューヨークを拠点に活動。2021年、石川県金沢市へ永住帰国し金沢を拠点に活動を再開する。
1979年最初のエジプトでの撮影を通じて「聖地」に興味を持ち、以降ライフワークとして世界30か国以上の聖地の撮影を続けている。1983年から14×20インチのフィルムを使った密着プラチナ・プリント技法を開始し、「聖地」や「Still Life」の撮影を続け、現在に至る。また同年からアメリカを中心にフランス、ドイツ、スイス、イタリアなどヨーロッパ、またアジアではバンコク、台北のギャラリー、美術館などで個展を多数開催。NY メトロポリタン美術館、ボストン美術館、サンフランシスコ美術館や清里フォトアートミュージアム、東京都写真美術館などに作品が収蔵されている。
写真活動以外に認定非営利団体・フレンズ・ウイズアウト・ア・ボーダーをニューヨークと東京に設立(1996)、1999年にカンボジアにアンコール小児病院、2015年にラオスにラオ・フレンズ小児病院を設立し、創設者・理事としてそれらの非営利小児病院運営に携わっている。
【著書】
Sacred Places (Arena Edition) , Kenro Izu Still life (Arena Edition) , 30 Year Retrospective (Nazraeli Press) , Eternal Light (Steidle) , Seduction (Damiani) , Fuzhou/Forgotten Land (Nazraeli Press) , 50 year journey“ 無常” (Varitas Edition) 等20 冊。
【受賞】
National Endowment for Art (USA) , New York Foundation for Arts, Guggenheim Foundation Fellow,Lou Stouman Award, Lucie Visionary Award, World of Children Award 等他。